「タクシー業界は人手不足だから、誰でも簡単に採用される」というイメージを持っている人は多いかもしれません。実際、数年前まではその通りでした。
しかし、東京タクシーセンターが公表している最新データ(2026年4月)を見ると、東京都内のタクシー運転者数はここ数年で大きく増加し、その増加ペースにも変化が見られます。
この記事では、東京都内のタクシー運転者数の推移を公式データから読み解き、「採用されやすさ」が今どう変化しているのかを詳しく解説します。
これから転職を考える方にとって、現在の状況を正しく知っておくことは、会社選びや応募のタイミングを考えるうえでとても重要です。
東京都のタクシー運転者数の推移
コロナ後、運転者数はV字回復
東京タクシーセンターが公表している「登録運転者数・運転者証交付数・事業者乗務証交付数の推移」によると、東京都内の法人タクシー運転者数(運転者証交付数)は、新型コロナの影響で大きく減少した後、近年急速に回復してきました。
具体的には、令和4年度末に48,515人まで落ち込んだ運転者数が、令和7年度末には54,298人まで増加しています。3年間で約5,800人、率にして約11.9%の増加です。
| 時点 | 運転者数 | 前年度末との差 |
|---|---|---|
| 令和4年度末 | 48,515人 | (コロナ後の底) |
| 令和5年度末 | 50,874人 | +2,359人 |
| 令和6年度末 | 53,401人 | +2,527人 |
| 令和7年度末 | 54,298人 | +897人 |
| 令和8年4月 | 54,380人 | – |
出典:公益財団法人東京タクシーセンター「登録運転者数・運転者証交付数・事業者乗務証交付数の推移」(法人タクシー運転者証交付数より)
しかし2026年、増加率は急速に鈍化
上の表をよく見ると、増加人数が年々変化していることに気づきます。
令和5→6年度は+2,527人でしたが、令和6→7年度は+897人と、増加幅が3分の1程度まで縮小しています。
さらに、毎年4月時点の「前年同月比」で比較すると、この変化はより明確になります。
令和6年4月
+5.3%
令和7年4月
+4.3%
令和8年4月
+1.4%
出典:公益財団法人東京タクシーセンター「登録運転者数・運転者証交付数・事業者乗務証交付数の推移」(各年4月の前年同月比より作成)
2024年・2025年の4月は、前年と比べて4〜5%台という高い増加率が続いていました。
これは、コロナ禍で離職したドライバーの代わりに、新しい人材が次々と業界に入ってきていた時期にあたります。
しかし2026年4月の増加率はわずか1.4%まで下がっており、これまでのような「急激に人が増え続ける」フェーズは、ひとまず一段落したと見ることができます。
なぜ東京の採用ペースは鈍化しているのか
平均年齢の若返りからわかる「世代交代」の進展
同じ資料からは、運転者の平均年齢の変化も確認できます。
令和4年度末に58.0歳だった平均年齢は、令和5年度末57.0歳、令和6年度末56.1歳、令和7年度末55.5歳と、毎年着実に下がってきています。
これは、定年退職などで離職するベテランドライバーよりも、新しく入ってくる若手・現役世代のドライバーの方が多い状態が続いていたことを意味します。
つまり、ここ数年の東京は「世代交代」がかなりのスピードで進んだ期間だったといえます。
| 時点 | 平均年齢 |
|---|---|
| 令和4年度末 | 58.0歳 |
| 令和5年度末 | 57.0歳 |
| 令和6年度末 | 56.1歳 |
| 令和7年度末 | 55.5歳 |
| 令和8年4月 | 55.5歳 |
出典:公益財団法人東京タクシーセンター「登録運転者数・運転者証交付数・事業者乗務証交付数の推移」
「誰でも採用される」時代は終わりつつある?
運転者数の増加率が1%台まで下がってきたということは、各タクシー会社にとって「人手不足だから、とにかく誰でも採用したい」という状況が、少しずつ緩和されてきていることを示唆しています。
実際に、東京都内の一部の営業所では、必要な人員がほぼ確保できたことを理由に、募集人数を絞ったり、一時的に募集を停止したりするケースも出てきているようです。
数年前のように「面接に行けばほぼ採用される」という状況は、東京の主要エリアでは、少しずつ変わってきていると考えられます。
とはいえ、これは「採用が不可能になった」という意味ではありません。会社や勤務形態によって状況は異なるため、複数の会社を比較しながら、自分に合った求人を見つけることが、これまで以上に大切になってきています。
これから転職を考える人が意識すべきこと
ポイント1:勤務形態・エリアによっては引き続きチャンスが大きい
全体の運転者数が増えてきているとはいえ、すべての勤務形態・エリアで均等に人が増えているとは限りません。例えば、隔日勤務に比べて募集が少ない昼日勤や、経験者向けとされることが多い夜日勤など、勤務形態によって人材の集まりやすさには差があります。「採用されやすい働き方」を見極めることが、これからは重要になります。
ポイント2:早めの行動が選択肢を広げる
増加率が鈍化してきているとはいえ、現時点ではまだ運転者数は増加傾向にあります。今後さらに採用が落ち着いていくと、これまで以上に会社を選ぶ基準が厳しくなっていく可能性も考えられます。気になる会社がある場合は、早めに情報収集や応募を進めておくことで、より多くの選択肢の中から会社を選べる可能性が高まります。
一方で、地方ではまだタクシー不足が続いている
ここまで見てきたのは、あくまで「東京都内」の状況です。全国的に見ると、タクシー運転者数は依然として、コロナ前やそれ以前と比べて大きく少ない状態が続いており、地方を中心に深刻な人手不足が解消されたとはいえない状況が続いています。
東京で採用のペースが落ち着いてきている一方で、地方ではまだ「タクシーが足りない」という声も多く聞かれます。
この地域差については、別の記事で詳しく解説します。東京で転職を考えている方は今回紹介したデータを参考に、地方での転職を考えている方は、引き続き売り手市場である可能性が高い、という前提で情報収集を進めるとよいでしょう。
まとめ
- 東京都内のタクシー運転者数は、令和4年度末の48,515人から令和7年度末の54,298人まで、3年間で約11.9%増加した
- しかし増加率は、令和6年4月の+5.3%から令和8年4月の+1.4%まで急速に鈍化している
- 平均年齢も58.0歳→55.5歳と若返りが進み、世代交代が大きく進展した
- 東京の主要エリアでは「誰でも採用される」状況が少しずつ変わってきている可能性がある
- 勤務形態・エリアによって採用状況は異なるため、複数の会社を比較し、早めに行動することが大切
タクシー業界の採用状況は、データの上でも変化が見られる時期に来ています。「いつか転職しよう」と考えている方は、現在の状況を踏まえて、気になる会社の最新の募集状況を早めにチェックしてみることをおすすめします。
出典:公益財団法人東京タクシーセンター「登録運転者数・運転者証交付数・事業者乗務証交付数の推移」
※運転者数は、東京都内で法人タクシーの運転者証交付を受けた人数(月末時点)に基づきます。実際の採用状況は、会社・営業所・勤務形態によって異なります。最新の募集状況は、各社の採用ページでご確認ください。


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